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サウスヴェール国立大学 学生食堂にて
久し振りにケイク=ルーベンスの姿を見たのは、少し遅い時間に学生食堂を訪れた時だった。
ホワイトソースが掛かったオムライスをトレーの上に載せ、いくらでもある空席を無視して学食の中を歩く。いつもは見かけても同じ学部の学生と食事を取っているのに、時間が合わなかったのか今日は珍しく一人で大きな窓に面したカウンター型の席に座っていた。フォークの先でトマトソースのパスタを絡め取っている隣に、オムライスを載せたトレーを下ろす。
「隣、いいか」
こちらの気配に顔を上げたケイクは、一瞬の驚きの表情の後で、すぐに頬を緩めた。
「もちろん。許可なんていいから、さっさと座れよ」
入学当初は共通の講義で顔を合わせることも多かったが、この昔からの親友と話をする機会は三年に上がったあたりからぐっと減っていた。ケイクの隣の椅子を引いて、腰を下ろす。
「就職、決まったよ」
「お、良かったな、おめでとう。どこに決まったんだ?」
「王国騎士団だよ。近衛じゃなくて、自由騎士枠だけど」
オムライスにスプーンを差し込みながら、横目でケイクの顔を見る。
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