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「ケイクは院に進むんだろ」
「まあな」
分かってはいたことだが、当たり前のように肯定が返ってきて嘆息する。
サウスヴェール国立大学の学生の半数以上は、卒業資格を得ると同時に現実に迎合していく。生物学科の自分でさえそうなのだから、魔法学を専攻している学生ならば尚更だ。学部で学んだ内容とは全く関係のない、騎士団への就職を決めた自分にケイクは笑いながら言った。
「なんだよ、呆れてるのか」
「いや、逆だ。その熱意には本当に頭が下がるよ」
「むしろここからが本番まであるな。院に進めば、ようやく自分で本格的に研究ができる」
ケイクは真顔で、大きく巻き取ったパスタを頬張った。
世間的には冷遇されがちな魔法学部の学生でありながら、ケイクは返済不要の奨学金を受け取っている。学部の講義の、とっくに先を行っている。
皿に残ったオムライスの欠片を掻き集めながら、呟く。
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