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「木羽、凜のことは早い段階で『凜ちゃん』だったもんね」
奈麻がそう言った。
「そういえば、そうだね。あれ、私いつから下の名前で呼ばれてるんだろ」
「あ、本当だな。間下が『凜』て呼ぶからつい、自然にそう呼んでた」
木羽くん、奈麻の方が仲良かったもんな。私の話題がそんなに出たんだろうか。
「そう? それだけ? 私のことはずっと『間下』なのに? 木羽、会社の人とは仲良くても名字呼びなのに凜だけそうだから、私は薄々凜のこと好きなんじゃないか疑ってたよ」
「……間下!」
木羽くんが慌てて遮った。何、何!?すっごい気になる。今度、奈麻に聞こう。
────
こうやって時々四人で食事に行くんだけど、帰り道は二人になる。
もちろん、私は木羽くんとだ。この後どうする?なんて聞かなくても当たり前みたいに一緒にいることが決まっている。
木羽くんは確かにまわりに女の子は多いし、よくモテる。でも、それを嫌だとは思わない。だって、私には特別優しいから。
それに、案外ウブなのだ。
初めて手を繋いだ時だって、初めてキスした時だって、微かに震えていた。
女の子と一緒にいることは平気だけど、恋愛となるとまた別なのかもしれない。単に女性的なのかなぁと思っていた。
が、やっぱり恋愛経験は私の方が格段に下だと思う。なんせ学生時代の恋愛しか知らないのだから。
社会人って、大人だ。すごく。
(何の話かは察して下さい)
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