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「 皐生くん、もうちょっとこっち来たら?」
ベッドに離れて腰かけるから、横に来て欲しくて声をかけたのに、ほんの少し寄っただけ。恥ずかしそうにしている。こういうところが、ウブなのだ。
可愛いからわざと近づくと、木羽くんの腕に私の胸が当たってしまった。木羽くんはかぁっと顔を赤くして目を逸らしてしまった。
え、今さら?面白しくなって、つんつんと腕をつつくとますます赤くなってしまった。
「凜ちゃん、やめてってば」
「だって、せっかく二人なんだから、くっつきたいよ。嫌?」
「……どうぞ」
って、控えめに胸を貸してくれた。遠慮なく、ドンと抱きついた。木羽くんは遠慮がちに私の背中に腕を回した。
うわ、木羽くんの鼓動、すっごい早い。緊張してるんだ。可愛いなぁ。
ただ、ここからはウブ……が、どっか行っちゃうんだな。
今度は私が顔をあげられなくなるんだけど、木羽くんの手で胸に顔を押さえたまま、ゆったりベッドへと沈められた。
「凜ちゃん、しよ?」
優しく細められた目尻に長い睫毛かかかる。こんな可愛い顔で言われたら、頷くしかないじゃない。
「はぁ、可愛いなあ」
って、私が思った言葉が木羽くんの口から出てくる。あなたの方が可愛いよ。
私も両手を伸ばして、木羽くんの両頬を挟んだ。木羽くんは恥ずかしそうにその手に自分の手を重ねた。
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