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──やがて、凜へのこの感情は積もりに積もって、完璧な敵対心へと育っていった。いつしか凜も私に敵対心を隠さない目で見るようになった。
「はぁ?」
大学の広い広いキャンパスでその顔を見つけた第一声がこれだった。お互いにだ。
「何であんたがいるの?」
私が言うと、凜も言い返してきた。
「こっちのセリフ!」
「マネしたでしょ」
「それはあんたでしょ!」
信じられない。凜と離れたくてあんなに必死に隠したのに。しかも、学部、学科まで同じだった。そんなことある?ないよね?絶対にわざとだ。何か凜は高校の時とは雰囲気も変わってますます可愛くなっていた。私も大学デビューってほどじゃないけれど、男子受けの良さそうな服装に変えた。それってつまり、凜っぽい服装ってことなんだけど。(意識はしてない。してないんだから)
さーらーにー、悩みに悩んで入ろうと思ったサークルの入り口でまた凜と鉢合わせしたのだ。
「私が先」
「真似しないで」
どっちも引くに引けなくて、結局同じサークルに入った。
──そして、悲劇は繰り返された。
何でいつもいつも、邪魔をするのだろうか。結局、私の大学生活、一度も告白に成功しなかった。受け身の恋を何度かした。それはそれで楽しかったんだけど、何だかもやもやしたものが晴れなかった。
今度こそ、凜のいない人生を──。そう決心していた。就活中、目指す企業の業種は絶対に凜にバレないようにしないと。社会人になってからの恋は、ひょっとしたら、人生を左右する恋になるのかもしれないのだから。
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