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高校に入る頃には、かなり上手くやれるようになっていた。不可抗力で友達の好きな人に告られることはあったけど、すぐに友達に謝罪し、一切その気はないとその男子には毅然とした態度を取り、以後近づかないことを徹底した。そのお陰で反感を買うこともなかった。
ただ、私が誰を好きかだけは漏らさないように頑張った。つい目が追ってしまうのも自制して、内輪で恋バナが始まってもせいぜい相槌を打つか、俳優の『○○くんみたいな人がいたらなぁ』と、夢見がちなふりしてやり過ごした。
高校生は、中学生とは違い、割りと異性の好みに個性が出てきたと思う。だいたいの子が一人の男の子を取り合うとかではなく、意中の相手は適度にバラけた。もちろん、ある一定数のモテ男子は存在したけれど。
むしろ、私がそのある一定数のモテ女子だった。私は自分の意中の人を打ち明けはしなかったが、みんなオープンにしていて、仲間内で好きな男子が被らなかったことにほっとしていた。
ただ一人、間下奈麻だけは『……うーん、まあ、私はまだ好きな人はいない』と、言った。
一瞬の間が開いた。それは、勘なのだけど、自分と同じだから気がついた。奈麻は好きな人がいると。誰にも知られたくないのか。何でだろう。その時は単純に恥ずかしいのかな?程度にしか思わなかった私はなんとピュアだったことか!
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