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間下奈麻は所謂サバサバ女子で、周りに媚びないことが格好いいなんて言われていた。私も最初はそう思っていた。
グループの子が新しい髪型にしてきた時、正直似合ってなかったけど『可愛い』って私もみんなも言った。奈麻だけは『前の方がいい』って言って、その場を凍り付かせた。が、言われた本人は
『やっぱり!? だよね~、奈麻はハッキリ言ってくれて嬉しい』だってさ。奈麻はハッキリ言っても嫌みがないんだよ。だ、そうだ。
私は、人間関係にも気を使って努力して築き上げたというのに、奈麻はそのままでみんなに受け入れられ、一目置かれてる。
見た目だって、綺麗だ。同性でもドキッちゃうくらい大人びた色気があるし、(エロくない清潔感のある色気)何もしてないのに艶やかで真っ直ぐなサラサラヘア。私なんて癖っ毛で毎朝大変なのに。睫毛まで真っ直ぐでこしがある。触らなくてもわかるくらい濃い影を作っていた。いいなあ。私は逆睫毛で睫毛パーマ必須。こしがない睫毛を固定するためにカールタイプのウォータープルーフマスカラも外せない。クレンジングも面倒くさいし、睫毛も痛むから負のスパイラル。美容液まで必須だ。
唇にほくろなんてあるから、口に海苔ついてるぞーとかからかわれることもしょっちゅうで、もう自虐的に自分から言うしかなかった。これ、すごい嫌い。口紅でも隠れないし。奈麻はシワひとつない、綺麗な淡い色の唇だ。
私の爪は薄くて、伸びると反ってくるから内側に向けてヤスリをかけなきゃならない。奈麻は縦長の綺麗なピンク色の爪だ。
……何か私のコンプレックスを全部網羅していて、私の“こうなりたい”女の子をそのまま形にしたような子だった。たぶん、みんなそう思っていて、意識していたり、無意識下だったとしても、羨望を受けているような子だ。
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