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1.
あぁ、来てしまった。
視界がチカチカとして、所々、真っ白に欠損した状態になる。
私は慌てて鞄を探る。プラスチックの包みに入った愛用の鎮痛剤を2粒取り出すと、自販機はないかと視線を走らせる。
うーん、見にくい・・・。
いつも突然やってくる片頭痛。付き合いは長いけれど、相変わらず困らされている。
夜の駅前。人通りも多く、この視野で自販機を探しながら歩くのは危ないな、と思う。コンビニか、薬局。とりあえず、水が買えればどこでもいい。ここからだと、どの店が一番近かったっけと考える。
どんどん、視野欠損がひどくなり、私は無意識に眉間に皺を寄せる。
もう、水なしで飲んじゃおうかな。いや、無理。むせて吐き出した過去が何度もある。
水ほしい、水ほしい、水ほしい・・・
心の中で唱えていると
「藤島さん?」
と左側から声をかけらる。そちらに顔を向けるものの、視野欠損と夜の暗さのせいで、相手の顔がよく見えない。私の眉間の皺がさらに深くなる。
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