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中さんが、首を傾げるようにして私の顔を覗き込む姿勢を取る。相変わらず、顔の中心が真っ白で、中さんがどんな表情をしているのか分からない。つい、同じ角度で首を曲げてしまう。 「のっぺらぼう?」 「そうですね。」 「確かに、目が合わない。」 さらに顔が近づいてくる。 「あの、見えてはいませんが、あまり近づかれると緊張します。」 私の訴えを無視して、中さんが私の手ごとペットボトルを握り、蓋をする。 「まだ見えてないなら歩けないでしょ。あっちに座って休もう。」 そのまま私の手を引いて歩き出す。 ・・・中さんって、こんな人だったっけ?
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