171人が本棚に入れています
本棚に追加
中さんがぶはっと大きく笑う。
「それ、どこかの民族のダンス?」
妙な動きをしてしまっていたことに気づき、私は恥ずかしくなって下を向く。
「すみません、中さんの笑顔を見たくて。」
中さんの笑い声が止まる。
「・・・そんなこと言われると、照れるな。」
「えー、悔しい。照れた顔も見たかったです。」
中さんがそっぽを向いたのが分かる。
「すみません、不快でしたか?」
「いや、照れてるだけ。」
「そうですか。」
私はホッとして駅前広場に向き直る。ふと、気づき、また中さんの方に顔を向ける。
「中さん、どうぞ行ってください。当たり前のように付き合わせてしまってました。すみません。」
「気にしないで。もともと、ここに座ってたんだ。」
「待ち合わせですか?」
「いや、なんていうか、座ってた。」
「そうですか。」
私はまた、駅前広場に向き直る。中さんがまた、笑う。
「座ってた理由、聞かないんだね。」
「聞いた方が良かったですか?」
「女性は、何でも聞きたがると思ってた。」
「モテ自慢ですね。」
「違うよ。」
「そうですよ。女性に色々詮索されるのはモテてる証拠です。」
最初のコメントを投稿しよう!