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どうにか自分の脚では立ったものの、うろたえる柊へと陽光は平然と至極当然な風に答えた。
「今夜、俺たちが泊る部屋にだ。――着替えるんだろ?」
「あぁ・・・・・・」
かろうじて返事と受け取れるような一語を発した柊へと、陽光は告げてくる。
ほんの少しもニコリとしない、真顔もまがおだった。
「でも、俺は着替えなくてもいいと思う。本当によく似合っている」
「・・・・・・」
「じゃあ何故、部屋に行くんだ?しかもおまえまで一緒になって」とは、けして陽光には問えない柊だった。
何故だか言葉に詰まった。
掴まれた左腕の付け根がワイシャツやジャケット越しだというのに、とても熱く柊には感じる。
今にも燃え出してしまいそうなほどに――。
いっそのこと、痛いくらいだった。
そう感じていながらも、柊は陽光の手を引き剥がそうとは全く思いつかなかった・・・・・・
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