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陽光の両手が実にきっちりと結ばれているネクタイにかかり切りなのをいいことに、柊は後ろ頭を抱え込んだ。
強い感触が手のひらを擦るのすら心地よく感じる。
陽光の髪は昔から変わらずに、強くて黒ぐろとしている。
陽光の性格、性質そのままに真っすぐで健やかだ。と柊はいつもながらに感心をしていた。
自分と会う度にきちんと切り整えてくれているのだろう。と、信じて全く疑わない。
そう、けして柊の思い上がり、――自惚れなどではなかった。
事実、陽光はそうしていた。
柊と会う前日には行きつけの理髪店を訪れておくのが、陽光の心密かな習いへとなっていた。
もちろん、柊へとあえて告げたことなどはない。
柊はこの隙に、思う存分に陽光へと口付ける。
どうしても指先へと気が削がれておざなりがちな陽光の舌を、思うがままにいい様に扱う。
他ならない自分が、「脱がせて」と頼んだのをいいことに――。
柊のネクタイを緩めた陽光がそおっと、柊の喉仏までへも触れてくる。
陽光の指先に応えるかの様に、柊の喉の真ん中に在る突起が上下へと動いた。
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