「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林正恭

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彼は旅行してきた国と日本を比べて、作中でこのように述べている。 「ほかの国と日本を比べて一番驚いたのは、日本が”世間”を強く信じていることだ。 ~ あの人、あの人、あの人、……の連続。それが世間だ。 本当にこの国(日本)の人は、他人のことを良くも悪くもあれこれ言っている。」 そうして、彼はこの『世間を信仰している日本』で、生き辛さを感じているという。 「この国で世間の空気を読まなくていい人間は、一目でわかるほどの圧倒的な何かを持っていなくてはならない。 それを持っていないならば、多数派に身を寄せつつ自分の位置を把握して空気を読んでいればそう生き辛くはない。 だがしかし、自分の位置をわきまえず、少数派の意見を貫こうとする時に、空気はものすごい勢いで頭を揃えようとしてくる。 圧倒的な何かを持っているか、圧倒的に空気が読めない鈍感さを持ち合わせていれば、やっていける。 でも、少数派のくせに繊細で、出る杭のくせに打たれ弱くて、口が悪いのにナイーブで、それなのに多数派に賛同できなかったら、こんなに生き辛い国はない。そういう人間を世間は本当に放っておかない。」 この意見は、多くの人の共感を生んだと思う。 たくさんの人間が「生き辛い」と感じていることを、ここエブリスタで知った。 ここでなら、弱みを吐ける、苦しみを吐ける、自我を吐き出せる。という作品を多く読んだ。 世間では受け入れてもらえない想いを、エブリスタで吐き出し、多くの仲間と共感することで、気持ちのよりどころにしていると思う。 そういう意味で、この作品もまた、生き辛さを感じている人にとっての「よりどころ」なのだろうと思う。
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