「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林正恭

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また彼は自身をこう分析している。 「俺は、ずっと自分の内面ばかりを覗き込んで他人を見てこなかった。 そういう人間は世間に「自意識過剰」「考え過ぎ」と嘲笑されるけれど、それは内面を覗き込む必要がない強い人間の無理解だ。 内面ばかりを覗き込む必要がある人は「なぜもっとスムーズに生きられないのだろう?」という想いを抱えている。 だから、自分の内面を隙なく覗き込んで一体どこに問題があるのかずっと探している。」 この意見を踏まえると、逆に、世渡り上手の人は、世間に自分を溶け込ませるのが上手いので、自分自身を顧みる必要がないということだ。 だから自分の分析をするよりも、他人を分析したがる。 あの人は、あの人は、と、人のやることばかり覗き込む。 また、嫌がられる人のタイプに「自分は、自分は、自分は」と、やたら自分の話しかしない人がいるけれど、こういう人は、そうやって自分を押し出すことで『圧倒的な何かを持つ、空気を読まなくても許される人』になりたいんだろうなぁと思った。 一見すると、正反対に思える『自分を押し付ける人』と『場に馴染めず孤独になる人』は、実は同じ『生き辛さを感じている人』なのかもしれない。 つづく
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