「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林正恭

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『生き辛さを感じている』作者は、そういう自分とどう折り合うのか。 「欠落の構造を自分なりに理解した時に、これからもずっと生き辛いだろうし、そして、これからも大切な価値にたくさん出逢うだろうという諦念と感謝が同時に生まれた。 その感情が芽生えてからは、内面を覗き込む時間が少なくなっていった。 めんどうくさいけど走ってみるかと走り出すと、外に目が向けられるようになっていた。すると、他人への興味が急激に湧いてきた。」 生き辛い人は、自分の問題点を知っている。 問題点は問題点として、自分の中で肯定してあげるしかない。 これが自分なんだ、と開き直ってみるのも一つの手かもしれない。 そうして、奇跡的でもなんでも『味方』を手に入れたら儲けものだ。 誰か一人でもいい。味方さえいてくれたら。理解者さえいてくれたら。 生き辛さを感じても、生きていける。 生きていけたら、悪いことばかりじゃない日もある。 悪いことばかりじゃない日に感謝してみると、きっと世界は優しくなる。 私はそう信じる。 大丈夫。 生き辛くても死にはしない。 生き辛いけど、生きていける。 這いずり回っていた自分を思い出して、少しだけ苦く懐かしい気持ちになった。 自分は自分以外の何者にもなれない、と開き直ったあの日から。 私は今も生きている。 生き辛さを感じている人にお勧めする一冊だ。 イメージソング: たりないふたり By Creepy Nuts
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