トゲナナフシの生存戦略

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トゲナナフシの生存戦略

庭で、トゲナナフシを見つけた。 トゲナナフシは、主に南日本で生息している昆虫なので、ここ千葉県では貴重な昆虫だ。 トゲナナフシという名前の通り、身体にトゲがついている。 44c7ab77-e0d4-4594-b8ca-b722ecbc7b4f このトゲは、擬態(周りと同化させて目立たなくする)用のトゲだ。 触っても、痛くない。 トゲナナフシはバラ科の植物を好んで食べるので、トゲのある植物の中に紛れるためだと言われている。 動きがゆっくりで、飛ぶことができない。 とても非力な昆虫だ。 けれど、たくましく生きている。 人間では全く不可能な方法をもちいて。 トゲナナフシのトゲは、擬態用のお飾りだ。 よって、戦闘能力はない。 それをよく知っている小鳥は、この昆虫を探して好んで食べる。 これほどうまく隠れているのに、小鳥という生き物は目が良く、そして賢いのだ。 トゲナナフシは考え、そして準備した。 小鳥に食べられても子孫を残す方法を。 非力な自分でも、次の世代を残す方法を。 それは、あらかじめ体内に殻がついた卵を作っておくこと。 この卵はとても硬く、小鳥の消化管を潜り抜け、消化されずに排泄される。 よく聞くのは植物の種だけれど、これをやってのける昆虫は、私の調べた限りではナナフシ科の昆虫しかいない。 つまり、トゲナナフシは見つからないように擬態を施しつつ、たとえ食べられても、子孫が残る仕組みを編み出したのである。 e5916ed3-240e-406d-ae37-bda3e69e706f 世界のナナフシの卵。 どれも硬い殻に覆われていて、種のような姿をしている。 (トゲナナフシは、真ん中の段の中央にある茶色で丸い姿。どんぐりにそっくり。) Wikipediaより つづく
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