トゲナナフシの生存戦略

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さて。 鳥に食べられることまで、想定内で生きているトゲナナフシ。 この準備万端の生存戦略は、これだけではなかった。 彼らは、念には念を入れて子孫を残す仕組みを生み出している。 それが、単為生殖である。 つまり、トゲナナフシはメスだけで繁殖することができる。 オスと出会うことなく、繁殖活動をすることなく、ひたすら擬態して生きる。 そして卵を産み、その生をまっとうする。もしくは鳥に食べられ死を迎えても、子孫を残す。 驚くことに、日本においてトゲナナフシのオスは、まだ一匹しか見つかっていない。なぜ、圧倒的にオスがいないのかは、謎。 予想では、トゲナナフシにとって、オスはいなくても良い存在ということだ。 子孫を残すことだけを考え、合理的なシステムを生み出したトゲナナフシ。 やることが徹底している! きっと人間には到底たどり着けない、生き物の『核』のようなものが、彼らの身体の中にあるのだろう。 こういう生き物がいるから、進化した生物、人間が誕生できたのではないか。 昆虫って、すごい。 つくづく尊敬してしまうのだ。 2de77bb3-ea48-4621-a1e0-e33e14301c05 脱皮していた「ナナフシモドキ」 ナナフシとは、節のある枝のこと。 一般的に呼ばれているナナフシの和名は、ナナフシモドキ。枝のような昆虫というわけだ。
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