彼女が選んだ道

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 出席番号が並んでいることもあり、美沙は絢香と行動することが増えた。  絢香が入るというので、美沙もバスケット部に入部した。  美沙はバスケットが未経験だった。しかし、美沙は身長が高く、運動も得意であったため、バスケット部でも頭角を現し始めていた。 「へぇー、相木さんは未経験者なんだ? その割にいい動きしてるじゃん、うまくなりそうだね」  同じく男子のバスケット部に入った高梨は美沙に話しかけてくれるようになった。 「本当に? じゃ、ちょっと頑張ってみようかな。絢香、いっぱい教えてね?」  美沙は経験者である絢香に微笑んだ。「OK」と絢香も微笑んだ。  同じクラスには他にバスケット部がいなかったこともあり、これ以降、美沙は高梨、絢香と三人で過ごすことが多くなった。  そんなある日の放課後のことだった。  部活が終わり、着替えを終えた美沙は先に校門で待っている絢香のもとへと歩いた。  三分とかからず校門に差し掛かると絢香が誰かと話しているのがわかった。言わずと知れた高梨だった。  何を話しているのかは聞こえないが、美沙には見えた。高梨が決して自分には見せることのない柔らかい笑顔を絢香に向けている様子が。  ナゼアノ笑顔ハ自分ニ向クコトハナイノカ。  美沙は、自分の胸の奥にザラついた感情に気づきながらも、それを表に出すべきではないとも気づいた。努めて笑顔を浮かべて二人に駆け寄った。 「あー、もうお腹空いちゃったよ。一緒に何か食べて帰らない?」  
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