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美沙は夜になってから絢香に連絡を取った。
この気持ちを解決する方法は、絢香に尋ねるしかないと思ったからだ。「絢香は、やはり高梨と付き合ってたりする?」と。
『あんたバカなの?』
電話越しにでも絢香が引いていると美沙に伝わった。
『中学ん時の同級生の話をしてただけだよ。あんたに嫉妬されるような話はしてない』
「でも……なんかそーいう共通の思い出みたいのがあるのが羨ましい」
『そんなこと言われても、あんたは小学校も中学校も違うでしょ?』
「そーなんだけどさぁ……」
過去は変えられない。自分がいなかった場所に自分を潜り込ませることなどできはしない。そんなことは美沙にもわかっていた。
それでも胸の奥でもう一人の自分が叫びそうになっていることもまた美沙にはわかっていた。
『バスケの話とかなら聞いてあげられるとかもあるかな』
「私は聞かれない……」
『高梨も私もミニバスからやってるから、長いつきあいなだけだよ』
高梨が絢香だけに話すことがあることが悔しかった。
絢香に向けたような柔らかい笑顔を自分にも向けてほしかった。
思わず美沙は心の声を呟いた。
「私、どうやったら絢香みたいになれるんだろ」
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