渚から教えられた

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渚から教えられた

 奏たちは、クリーン計画実行する高校生や大学生をもっと増やしたいと、SNSをしている子たちは、#クリーン計画とハッシュタグをつけて、自分たちの高校には地球に優しい運動に取り組んでいる男子生徒がいます。拡散希望しますと書いて配信した。 瞬く間に、拡散されて政府のある人物の目に止まった。 (クリーン計画?)  松原 智志(さとし)は、地球の環境等について勉強している議員の一人だ。  要が立ち上げたホームページにアクセスしてみる。  それには、100年前のコロナというウイルスの事と、地球温暖化対策が日本は世界より遅れているという事がかかれている。  智志の祖父にあたる松原 宗治(そうじ)が、智志と同じく地球の環境問題に携わっていた。  その事と何か関係がないかと、祖父の関係者からいろいろ聞き出してみる。  今世紀まで、世界中で取り込んできた実績は、氷山の一角程度だということに愕然とした。  ほとんどなされてなかったというわけではないが、少子化問題だの高齢化社会問題等に託つけて、放置気味だったんだから、今を生きる僕たちがその代償を払わないといけなくなったと記述した要の自主出版の電子書籍を購入した。 「大人が動かないから、自分たちが行動で示すしかない。高校生の立花奏という少年は、クリーン計画の第一人者です__」  一気に読んだ智志は、子供達の勇気ある行動に心動かされた。  ただ、彼らは政府の仕事を理解できていないところがあるから、《 《大人は何もしていない》》と誤解をしている節もあるが、今世紀まであまり地球問題に向き合って来なかったと指摘されれば説得する言葉が見つからない。 (まずは、この著者とクリーン計画第一人者の少年とコンタクトを取ってみるか)  温くなったカフェオレを飲み干すと、智志は重たい腰を上げて活動基盤の事務所から出て行った。 「急な呼び出しですみません。君たちの活動に関心があるのです」 「こちらこそ、忙しい中、会談の機会を設けてくださりありがとうございます」  要が、そう言うと智志は早速本題に入りたいと言い出した。  喫茶店という静かな場所で仕事以外で、大学生などと接するのは初めてだ。  要が出版した電子書籍についての感想を述べてから、奏たちの活動について自分のホームページでも紹介していいのかどうか聞いてみると、二人はチャンスだから是非ともお願いしますと頭を下げた。 「私も、環境問題については日ごろから勉強はしているのだけど、上に立つ人というのは大都会での数字しか見ようとしないところがあるから、君たちがと思うのもわからなくはないです。こんな事言うと政治家なのにと思われるかもしれませんがね」 「ニュースをスマホで見るくらいなので、若い世代には伝わっていない事が多いんです。10代、20代というのは政治活動には関心がないのは事実です。ただ、不思議とアマビエという妖怪については感心が高かったんですよ。その妖怪について詳しい人が後世へ残せたらとまとめた資料も、きょうは持ってきたのですけど……」  要は奏から預かっている渚が作成した分厚い資料を、リュックに入れて持ち歩いているという。 「興味があるので、貸してくれませんか?」 「返却はいつでも大丈夫ですので、こちらになります」  そう言って要は分厚い資料をテーブルの上に置いた。  
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