19、前夜か後夜か

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リビングに戻ると、高田くんがスマホを見ながら、微笑んでいた。 そのまま私の方に顔を向け、同じ笑顔をくれた。 「思ってたより早かったね」 「早く出ようと、心がけてみた」 「一緒に食べよう」 「食べなかったの?」 「一人じゃ、自分ちと変わんないじゃん」 冷蔵庫から良く冷えたビールとお茶を出す。 「オレもビールね」 「はいはい」 お茶をしまい、ビールももう一本だす。 テーブルにお惣菜を並べ、一緒に箸をつけた。 明日は8時には学校に行かないといけない。 荷物も多いから7時過ぎには家を出たい。 はぁ、明日は5時起きか。 でも、彼が家に帰る事を考えると丁度良い時間かもね。 「布団出そうね」 「なんで?」 「泊っていくんでしょ?」 「うん」 「じゃ、布団必要じゃない」 「別にいらないし、乃ノ香さんを抱きしめて寝るから」 「……今日くらいはゆっくり寝たくない?」 「抱きしめても寝れるし」 「んー寝れないかもよ?」 「オレは寝れる」 「じゃ、いいよ」 「え?いいの?」 「うん、高田くんからは何もしないでしょ?」 「ま、そんな風に言われたら、しなくもないけど」 「いや、しなくっていいから」 バカな話をしながら、ベッドに入る。 彼は私をきつく抱きしめる。
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