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ナオと結婚してからの朝でも、俺はいつもの時間に目が覚める。
それはどんなに遅くに寝ても…変わらない事だった。
原因はわかっていた。
ただ、あの日のあの瞬間を俺は忘れられないだけだった。
その時間が、午前4時だった。
「はっ…ナオ!」
目は覚めるものの、それがもう…過去なことはわかっていた俺は、無意識のうちにすぐ自分の口を両手で覆っていた。
「はあ…はあ。」
俺の横でスヤスヤと眠る彼女を起こさないように…。
動機がおさまるまで、俺はしばらく彼女の穏やかな寝顔を見つめる。
「ふう。」
ここ数年、熟睡できるようにはなったが…
この時間に目が覚め、再び寝ようとは思えない。
昼からの勤務でも、着替えるようにしていた。
着替え終わるころちょうど、彼女が目を覚ます。
俺は、その瞬間に彼女の視界にいたかった。
彼女はいつも…恐る恐る目を開ける。
そのことについて口にすることはなかったが、俺を見ると安心してくれる。
「おはよう。」
そう俺がほほ笑むだけで、彼女は笑顔を見せてくれる。
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