第一章[目覚めの時]

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ナオと結婚してからの朝でも、俺はいつもの時間に目が覚める。 それはどんなに遅くに寝ても…変わらない事だった。 原因はわかっていた。 ただ、あの日のあの瞬間を俺は忘れられないだけだった。 その時間が、午前4時だった。 「はっ…ナオ!」 目は覚めるものの、それがもう…過去なことはわかっていた俺は、無意識のうちにすぐ自分の口を両手で覆っていた。 「はあ…はあ。」 俺の横でスヤスヤと眠る彼女を起こさないように…。 動機がおさまるまで、俺はしばらく彼女の穏やかな寝顔を見つめる。 「ふう。」 ここ数年、熟睡できるようにはなったが… この時間に目が覚め、再び寝ようとは思えない。 昼からの勤務でも、着替えるようにしていた。 着替え終わるころちょうど、彼女が目を覚ます。 俺は、その瞬間に彼女の視界にいたかった。 彼女はいつも…恐る恐る目を開ける。 そのことについて口にすることはなかったが、俺を見ると安心してくれる。 「おはよう。」 そう俺がほほ笑むだけで、彼女は笑顔を見せてくれる。
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