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第二章[あの日から…。]
俺は彼女が高校一年生となった年に、美術教師として赴任した。
画家としての知名度もあったが、画家を本業にするつもりはなかった。
「先生の絵見たことありますよ。」
「あ、ありがとうございます…。」
隣の席になったのが、嶋谷秀幸先生だった。
まったく絵に興味もなさそうな人に言われるのは日常茶飯事だったから、深くは考えなかったが…。
「ユウヤン!」
学生ウケするイラストも描いていたこともあって、生徒たちからはそう呼ばれていた。
「ふう。」
「あ…すみません、アイツらうるさいですよね。」
職員室まで駆け込んできて、中にはサインを書けだの。
イラストを描いてくれとか言ってくる生徒が後を絶たなかった。
「シッ!できない奴は美術の点減点だからな!」
「ユウヤンのけち。」
「おい!」
嶋谷先生が眉間にしわを寄せて、立ち上がったものだから駆け寄ってきた生徒は一瞬で静かになった。
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