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俺にとって激動の一年と言っていいほどだったが、画家を本業にするつもりはなかったが気がつくと俺は真っ白いキャンパスに何も描けなくなっていた。
頭に浮かんだ…彼女の笑顔でさえ、描くことができなかった。
「はあ…あ、ま。本業にするつもりはなかったが…もう無理だな。」
これがまた、落ち込むことはなかった。
ただ、いつかイラスト描いてやると言った生徒との約束が果たせないことが気になった。
「ふう。」
「谷崎先生?どうしたんです?」
「うっわ!」
我に返った時、急に目の前に彼女がいて俺は驚いて椅子から転げ落ちた。
「え?先生ダイジョウブ?」
「ふっ…。」
転んだことをごまかしたくて、床に座ったまま倒れた椅子を起こした。
そこに、ひじを突き俺は顔をのせると彼女を見上げた。
「どうした?櫻井が美術室に来るなんて珍しいじゃないか?え?うん?ここで落ち合うのか?よそでやれよ。」
「イヤらしい言い方よして…職員室にノート届けたら、谷崎先生いないから描いてるのかなって思って。」
彼女は、あたりを見渡していた。
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