21人が本棚に入れています
本棚に追加
うすうす自分の中で彼女は、先生に好かれて付き合っている生徒。
という認識から、俺も?好きだなと自覚していた。
だが二人の仲に入る隙は全くなかった、それよりも俺は自由気ままな二人の世話を、勝手にやいているだけでよかった。
「もう…ユウヤン、聞いてくれる?」
「どうした?」
それから彼女は、きまって美術室に愚痴を言いに来るようになっていた。
俺に話を聞いてもらいたいと言いながらも、辺りをキョロキョロ見渡していた。
「安心しろ…俺以外誰もいないから。」
愚痴を言いながら、彼の事を大事に思っている彼女が愛おしかった。
「え?ああ…はい。」
「で?どうした?」
「ね?ユウヤンは…何年、生まれ?」
「は?嶋谷先生の愚痴を言いに来たんじゃないのか?」
「うーん、そのつもりだったけど。」
彼女は椅子を抱え、俺の目の前に座った。
「ね?今、何していたの?絵!描いてた?」
「…違うよ。ごめんな、」
「え?なんで?謝るの?」
「あ、いや…俺の絵のファンだって言っていたろ?違ったか?」
「そうだけど?」
「描いているとこ、見せてやれないから…。」
「先生の仕事忙しいの?」
「そういうわけじゃないけど…うん。」
なにが?うん。なのか?
答えはわかっていた…描けない理由、でも俺は口にするつもりはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!