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彼女はただ、俺をジッと見つめていた。
彼を好きだと即答すればいいものを、俺の心の中を読みあさっているかのようになかなか答えようとはしなかった。
「櫻井?」
しびれを切らした俺は、彼のように…
直央!
そう呼びたいのを我慢していつものように呼んだ。
「違う話、しない?」
「フッ、そうだな。」
彼女は俺なんかよりも、彼よりも…大人だった。
高校生になったその日彼女は、ご両親を交通事故で亡くした。
学校に連絡を入れた時、その電話をとったのが…彼、嶋谷先生だった。
彼女は、将来心配することもない遺産を受け取ったが独りになった。
それを支えたのはまぎれもなく、彼だった。
彼女は、大人にならなければならなった。
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