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「あのお時間いただいても、いいですか?」
「ええ、かまいませんが?」
西村先生は職員室を出ようとしていたが、彼はその場に立ち尽くしていた。
「あの、申し訳ないが…ここで話できないですか?また面倒な噂でも立てられたらやっかいでしょ?」
「え?」
困惑した西村先生は、周囲を見渡していた。
どうしてこう気配りのできない事をあっさりこの人は言うんだろうと、思っているとその理由がすぐにわかった。
そこに、ノートをたくさん抱えた彼女が職員室に入ってきた。
「失礼します。」
「あ、」
重そうにしている彼女に駆け寄ろうと、俺は立ち上がりかけたが彼が自然と駆け寄っていた。
「すまない…重かったよな?ありがとう。」
その彼の笑顔は絶対、彼女以外に向けられるものではなかった。
誰よりも優しく彼女に微笑む姿に、そこは二人だけの時間と空間だった。
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