序章[知っている。]

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彼は、 俺…谷崎優也(たにざきゆうや)よりも4つ年上で、 もちろんキャリアも 俺より上で、 そして現代国語の教師… 小説家を目指していた彼女のよき相談相手? 違うな、 彼女が心から愛する人。 嶋谷秀幸(しまたにひでゆき)。 俺が担当していたのは美術で、 彼女のクラスには、もう一人いた西村麗華(にしむられいか)が担当していた。 彼女が通うこの高校で、 西村先生と嶋谷先生が付き合っているという噂があったが… 彼が好きだったのは彼女、櫻井直央(さくらいなお)だった。 俺らが出会ったあの日から数年、俺となおは結婚した。 あの人を愛していたなおを、 俺に振り向かせることができた。 けど…俺は知ってる。 彼女があの日々を書いていた日記を、いまだ捨てられないことを。 そして、そこに何が書かれているのかも俺は知っていた。
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