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「え?あ、いえ…せ、先生。」
「あ!おう。」
彼女の先生という呼びかけに、彼は我に返ったようで俺の顔を凝視して周囲を確認していた。
「あ?あれ?」
それまで、そこにいたはずの西村先生の姿がなかった。
「谷崎先生、西村先生知りません?」
「あー俺は…そこ見ていたんで。」
と、二人を指さした。
「あ…そうか?まったく…話ってなんだったんだろう?」
「お邪魔してしまいました?」
「あ?いや…うん。いいんだ。」
「はい。」
どうでもいいが、二人とも職員室で見つめすぎだろ…。
そんな自由な二人を見ているだけで、安らぎさえ感じていた。
そう思っていたのは、どうやら俺だけだったようで…。
その日、俺が帰宅する前に戸締り確認で美術室の奥の画材倉庫に行った時。
「だれか~。」
かすれた声が、聞こえてきた。
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