GO NEXT!

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GO NEXT!

「あれ、降りなくていいの?」  って。君が聞いたから。僕は黙ってうなずく。  不思議そうに横からのぞきこんでくる明るい茶色の瞳がまぶしくて。思わずうつむきながら。  いつもは満員の車両が、今日はガラガラだから。  だって、今は、まだ昼下がり。  優先席の端っこにポツンと腰かけてるおばあちゃんは、うなじに注ぐ日ざしの優しさにコックリコックリ。  気持ちよさそうに舟をこいでる。綺麗に結い上げた白い髪、キラキラ光って。  タチの悪いハヤリカゼのせいで、突然の学級閉鎖。  この路線で帰宅するのは、うちのクラスで、僕と君だけ。  「偶然が2つ以上重なったら、それは必然。もしくは奇跡」  そう誰かが言ってた。  長い座席はガラ空きなのに。  君の制服の肩とズボンが、僕のに、ときおり、少し。触れる距離。  ……必然? 奇跡?  きっと、2年近く、毎晩寝る前に神さまに祈り続けた僕の願いが届いたんだ。  これは、必然の奇跡。そう信じて。  信じて。  ……次の駅に着くまでに、僕は君に告白しなきゃ。  駅員さんのホイッスルが響いて。電車のドアが「プシューッ」と閉まる。  僕は、ゴクリと息をのんで。膝の上に置いた手をギュッと握りしめて。  さあ、落ちついて。  深く深く、息を吸い込んで。  「あ、あのね。僕。入学式で出会ったときから、ずっとずっと、君のこと……」  覚悟してた以上に声がふるえる。  手の中が汗ばむ。ホッペタが火照る。横顔に感じる君の視線が。熱くて……  電車はゆっくりガタゴトと走り出す。  次の駅を目指して、ただ素直に。  進め。
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