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 アラサーにもなってBLにハマっているなんて、と思う人もいるかもしれない。でも、BLは心の活力であり、日々の心の疲れを癒してくれる唯一無二の存在なのだ。同性を好きになってしまう背徳感と、それでも抗えないほどの感情を自覚し相手の一挙一動に振り回される様は、もう純愛!エロありでもジャンルは純愛!なのである。  ……あ、ヤバい、ヤバい。二人のやり取りを見ていると、勝手に妄想が広がって(よだれ)が出そうになる。そう、妄想が広がってーーー  ーーーグイグイ系の水間君が、結城さんを食事に誘ってお持ち帰り……「家飲みでもしましょうよ」と自宅マンションでアルコール度数の高いお酒で乾杯。弾む会話、紅潮する頬、潤む瞳……徐々に二人の距離が近付き、おもむろにネクタイを外しながら「俺……もう我慢の限界です……」と結城さんを壁際に追い詰める水間君……  からの、なんと結城さんが水間君を組み伏せ、「俺を抱こうなんて百万年早いね」と顎クイの形勢逆転強引なキス!! 「きゃーっ!」 「!?」  気付くと水間君はいなかった。  私の目の前には驚きと呆れ顔との中間の表情をした結城さん。 「あっ……す、すいません!ちょっと今トリップ入ってました!」 「いや、いいんだけど……また妄想ってやつ?」 「……ハイ」  なんと結城さんにはバレている。入社当初からこの二人で妄想をし続け、会議中にまでトリップしてしまった私のおかしな言動を心配され、問い詰められた結果である。
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