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ЖЖЖЖ mimic
次の日、約束の18時、フィアンセの前川玲子と例のジャズ喫茶で落ち合った。
「裕二さん、この際、私と同棲しない?結婚式まであと2か月だけど、よかったら私の家に来てよ。父も母も大歓迎なの」
「・・・・・・・・」
「ねえ、どうなのよ」
「えっ、君の家で同棲?」
「どうしたの?そんなに驚いて。私の家は広いの、庭も、家庭菜園もあるわ。誰にも干渉されないわ」
「でもなあ…、 僕の家に来ないか?狭いけど、それに婆さんがいるけど」
「お婆さんね、ご長命の方。そのことは以前聞いたわ。今も小唄の師匠をなさっておらるんでしょう。粋だわね。早く会ってみたいわ。けど、結婚したらもう私の家で過ごすことは殆どないと思うの。だから、想い出のために家に来てよ」
「そうか、想い出のためにか、わかったよ」
「嬉しいわ。このこと家に帰ったら直ぐに父と母に伝えるわ、……」
「どうしたんだ?目を白黒させて、なにがあったんだ?」
「裕二さん、この店、出ましょう」
「どうしたんだよ。急に」
「なんでもないの、とにかく店を出ましょう」
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