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……ちぐはぐだらけの過去
「ーーーーサリーへ。
これを見ているということは、家を出る決心がついたのですね。
あなたは今ここで死んではいけない、小さな町に収まる人ではないですよ。もっと広い世界を見なさい。知識を得て、知恵を付け人々の役に立つことをしなさい。
そして、どこかであなたのお父さんのような、素敵な人に出会うのです。
そうそう。母さんが元気な時にこの世界に沢山の仲間を作っておきました。これから、あなたのことを助けてくれるでしょう。
最後に、羽織のポッケに母さんの宝物を入れておきました。大切な物は見えなくともいつも近くにあるのですよ。
最愛の娘、サリー、愛しているわ。
母、ラズリより」
涙でぐしゃぐしゃになった目を擦り私は羽織に手を通した。
羽織のポッケには父からのプレゼントで母がつけていた綺麗な指輪と、家族3人で撮った写真がペンダントの中にしまわれていた。
私はもしかしたら、何か使うことがあるかもしれないと母が昔私にくれたスパイスのセットそして、母が古くから読んでいた魔法書を持った。
「よし。私はまだ死ねない」
意を決して私は家を出た。
「サリー、あなたの無事を祈るわ…………」
ーーーーーー
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