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14.決意のその後
「あれ? 夢だったのかな」
時空の歪みを飛んでしばらく立った頃、カターシャの腕の中でつぶやくサリー。
「んなことあるか、夢な訳ないだろ。手のひらを見てみろ」と、カターシャに怒られるサリーがいた。
「あれ? ここは?」キョトンとした顔で話すサリー。
「テントの中だ……」そうカターシャに言われ、サリーは今までの出来事を思い出したようだ。
ふと自身の手を開くとヒリヒリと痛む傷が。思わず顔をしかめてしまったサリー。
「痛むか?」カターシャが心配そうに尋ねてきた。
「少しだけ……でも大丈夫だよ」サリーのいつもの声にカターシャは安堵の表情を見せ、もう一度サリーを強く抱きしめた。
「ねぇ、みんなは?」サリーが聞くとカターシャは気だるそうに答えた。「疲れて皆寝ているよ。巨大な鳥が建物を壊してくれたおかげで眠る場所もなく、皆村でテントを張っている」
「村に戻ってこれたのね」サリーは少しだけ涙を浮かべ、カターシャの胸に顔を埋めた。
「あの後、時空の歪みを通り抜けて、村に戻ってきたんだ。光の蜘蛛はあっちの世界に帰ったみたいだけど、ブリードはしばらく召喚されたままがいいみたいでな……多分テントの外でアズールと仲良く寝ているだろう」
「そっか。でも……みんな……無事で本当によかったっ」
「そうだな」布団の中でサリーをぎゅっと抱きしめるカターシャ。
彼は今、サリーという確かな代償を受け入れたのだろう。
「明日は城に帰れる?」
カターシャが抱きしめる腕から、ひょっこり顔を出すサリー。上目遣いで聞かれたカターシャは、思わず笑ってしまったが、こう答えた。
「ああ、一緒に帰ろう」
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