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「やめなさい! 暑苦しいのはどっか行ってな!」ゾーイがカターシャとボトに怒ったところで、ジンがやってきた。
「皆さん、おはようございます。そろそろテントを片付けて出発しましょう。ミカリス王、あとは任せて良いですか?」
「ああ、ここの後始末は私に任せてくれ」深く頷くミカリス。
「もうお別れなんですか?」サリーが悲しそうな顔でミカリスに尋ねた。
「そうだな。サリー、今回は助けられたよ。君は、偉大な魔法使いだ。せっかくだから私と一緒に帰るかい? うちの町もいい所だ」ミカリスがサリーに握手を求めながら話していると、カターシャが血相を変えて飛んできた。
「いや、お前の城に行くときは俺も一緒だ」そういうとカターシャは、ミカリスが握ろうとしているサリーの手を引っ張った。
「番犬は怖いね〜」ミカリスは呟いた。
「お前には渡さないから」カターシャはミカリスにだけ聞こえるように、ボソッと呟いた。
「お前に殺されるのだけは勘弁だ」優しい笑みを浮かべたミカリス。
「よし、我々は仕事に戻るとするよ」そう言うとミカリスは兵士を引き連れて、影に支配されていた村の片付けを始めた。
サリーたち一行は城に戻るため、歩き出した。
「ミカリス王、私カターシャと一緒に遊びに行きますから!」
ミカリスに向かって大きく手を振るサリー。
ミカリスは嬉しそうに微笑みこう呟いた。
「カターシャ、サリーの事頼んだぞ……」
彼の見つめる先には、並んで歩くサリーとカターシャの姿があった。
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