1.砂の下で

3/10
前へ
/176ページ
次へ
(??? side)  隣の町の視察を終えた我々は砂嵐が止んだ頃、隣町を出た。  帰り道の途中、砂漠で横たわるトラを見つけた。 「こんなところにトラか?? ジン、連れて帰るか??」 「カターシャ様、おやめください。これ以上城に動物を増やさないでください……喋るクマに、ウサギに、リスに……賑やかすぎるのですから」 「ああ、そうだったな」  トラの前で話をしていると、急にトラが起き上がった。どうやら我々を警戒しているようだ。 「グルルルル……」 「カターシャ様!! 女の人がいるようですよ」  ジンの言うとおり、トラの腹の下に女が……眠っているようだ。とても細い体をしている。 「ちゃんと飯は食えているのだろうか」 何故か湧き上がる、水知らずの女性に対しての心配事……俺は暑さで頭がおかしくなったんだろうなと思う。 ーーーーーー  起き上がった彼女はそれは綺麗な顔をしていた。 短い髪にピアスをつけており、態度はデカイが華奢で小柄な体つきだ。  何故か目が離せない。そんな印象の彼女を料理人として城に連れて帰ることにした。 「カターシャ様、少し嬉しそうですね。何かいいことでも??」 「いや。なんでもない」  この気持ち、ジンや彼女にバレるわけにはいかなかった。 (??? side fin)
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加