1.砂の下で

4/10
前へ
/176ページ
次へ
 目の前には謎の男が二人。ふとアズールをみた。背中にくくっていた鍋は全部吹っ飛んでいったみたいで、スパイスの箱も無くなっている。 (仕方ない、また一からやり直すしかないね) 「お前、目的地への道はわかるのか?」 「わかりません……」 「では、私についてくるといい」 「ーーーー嫌です!!」 「は!! なぜだ」 「砂漠で会う人にはろくな人は居ないから、むやみについて行ってはいけないと母に教えてもらったんです。それにあなた達のその格好、なんか胡散臭いんですよね…………」  青年は驚き固まっている。青年の後ろにいる長身の男は、クスクスと笑っていた。 「ほーほー、そうか。では精々生き延びてくれ」  青年はそういい、ラクダにまたがり私たちの元を去る素振りを見せた。 「お二人ともお元気で。アズール、スパイス探そう、きっと近くにあるはずよ」  私とアズールは足元の砂を掘りながらスパイスが入っている箱を探した。  ラクダにまたがった青年はそんな私達を眺めながら、大きなため息をつきこちらの方へ近づいてきた。 「お前らちょっとそこの場所あけろ」 「はい??今忙しいので」 「いいからそこ避けろ」  そこまで言うのなら、と思った私たちは少し離れ、長身の男の近くまで移動した。 「あの何が起こるんですか??」 「あなたたちの探し物は見つかるはずです。見ててください」    長身の男は優しい声でそう言った。  (そう言えばこの人も綺麗な目元だわ)
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加