1.砂の下で

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 火の上にフライパンを置き、お肉を焼き始めた。いい香りがする。  お肉の香りにつられてアズールも寄ってきた。 「アズールもう少し待ってね。」 「サリー様、ご挨拶するのが遅くなってしまいました、私ジンと申します。よろしくお願いしますね」  長身の男は自らをジンと名乗った。少し変わったフレームの眼鏡をしていた。 (金でできているのかな?キラキラしている) 「サリー様とアズールさんは仲がよろしいようですね。兄弟のように見えますよ」 「私の唯一の家族ですから…………ね。さっ!! お肉がいい感じに焼けましたよ!! みんなで食べましょう」  プレートに取り分け、皆に配った。 「さすが料理人、うまそうだな」 「サリーさん、頂きます」  そういって二人は重そうな帽子と、鼻から下を覆っていた布を取り外した。 (びっくり。二人ともイ……イケメンだ)  カターシャは綺麗なシルバーの髪に、ブルーの瞳がよく似合う。  ジンさんは長い赤い髪を後ろでまとめ、メガネの奥は黒い瞳をしていた。月の光が二人を綺麗に照らしている。  ふとカターシャと目があった。  するとニコッと笑って一言私に向かってこう呟く。 「これうまいな」 (爆弾級のスマイルが私に降ってきた。カターシャの笑顔は危険だ) 「サリー様、料理はどちらで勉強されたんですか?? 初めて食べるお味です」  ジンが前のめりになって聞いてきた。よっぽどお肉が美味しかったのだろう。 「私の母に教わったんです…………お肉の切り方から野菜の切り方、スパイスの調合方法まで全部」 「そうでしたか。とても美味しいですよ」 「ありがとうございます。まだありますから沢山食べてくださいね!!」  サリーとジンの会話をカターシャは静かに聞いていた。
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