1.砂の下で

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 久しぶりにお肉を食べれて大満足のサリーはアズールに抱きついた。 (フラフワで可愛い私のトラ〜癒される) 「アズール、今日は砂まみれにしちゃってごめんね。帰ったら綺麗にブラッシングしてあげるから」  グルグルグルと喉を鳴らした。  あたりが静かになってきた。風の音も聞こえない。  アズールは疲れ果てたのか気づいた頃には寝ており、ジンもラクダの様子を見るために離れた場所にいた。  サリーは食事の後片付けをしながら、カターシャに質問攻めにされていた。 「お前、サリーと言ったな。出身はどこだ??」 「今はもうない町ですよ。緑が豊かな地でした」 「もうないだと?? お前今いくつだ??」 「私ですか?? 二十五になります」 「そうか…………(となると二十五年以内に無くなった町だよな…………まさかな)」  カターシャは何やら一人で考え事をしているようだった。 「さっき母親に料理を教えてもらったと言っていたが、今母親はどこにいるんだ??」 「…………もういないですよ。流行り病で亡くなったから」 「ーーーーそうだったか」  (私は久しぶりに母を思い出そうとした。訳あって、途切れ途切れの記憶だけれど) 「私が二十歳になったとき、住んでいた町では病気が大流行したんです。 母はその病気にかかってしまったんですが、治す薬も見つからず、しばらくして亡くなりました。 町には二百人くらいが住んでいたんですがみんな…………病気にかかってしまって、最後には…………」 「お前はどうやって生き延びた??」 「母に逃げなさいと言われたんです…………」  あの時の記憶が蘇る。消し去ろうとしたけれど、消すことのできなかった母との別れ。    暑い夏の夜だった。
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