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久しぶりにお肉を食べれて大満足のサリーはアズールに抱きついた。
(フラフワで可愛い私のトラ〜癒される)
「アズール、今日は砂まみれにしちゃってごめんね。帰ったら綺麗にブラッシングしてあげるから」
グルグルグルと喉を鳴らした。
あたりが静かになってきた。風の音も聞こえない。
アズールは疲れ果てたのか気づいた頃には寝ており、ジンもラクダの様子を見るために離れた場所にいた。
サリーは食事の後片付けをしながら、カターシャに質問攻めにされていた。
「お前、サリーと言ったな。出身はどこだ??」
「今はもうない町ですよ。緑が豊かな地でした」
「もうないだと?? お前今いくつだ??」
「私ですか?? 二十五になります」
「そうか…………(となると二十五年以内に無くなった町だよな…………まさかな)」
カターシャは何やら一人で考え事をしているようだった。
「さっき母親に料理を教えてもらったと言っていたが、今母親はどこにいるんだ??」
「…………もういないですよ。流行り病で亡くなったから」
「ーーーーそうだったか」
(私は久しぶりに母を思い出そうとした。訳あって、途切れ途切れの記憶だけれど)
「私が二十歳になったとき、住んでいた町では病気が大流行したんです。
母はその病気にかかってしまったんですが、治す薬も見つからず、しばらくして亡くなりました。
町には二百人くらいが住んでいたんですがみんな…………病気にかかってしまって、最後には…………」
「お前はどうやって生き延びた??」
「母に逃げなさいと言われたんです…………」
あの時の記憶が蘇る。消し去ろうとしたけれど、消すことのできなかった母との別れ。
暑い夏の夜だった。
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