プロローグ

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プロローグ

 ミニアルバム売上げ目標達成のご褒美、バリ旅行は終わってしまった。  『神様の島』で、僕らは偶然にも同じことを誓ったみたいだ。ずっと一緒にいる。そんなシンプルな誓いであっても僕は嬉しかった。  ちょっとグロテスク? だけど、木彫りの神様を記念に買ってきた。寝室にでも置くかな。 「まだ起きてるのか? 俺もう寝るぞ」  帰りの飛行機。なぜか深夜発なので、佐山はもう目をしばたいている。実は僕ももう限界だ。 「おやすみ」  僕らはまた体をくっつけて眠りにつく。あいつの規則正しい寝息と胸の上下運動が心地よい。それを感じてると僕も安心して眠れるよ。  機内は室内灯を落としてしまい、化粧室の灯りがカーテンから漏れるだけ。佐山は何を思ったのか、僕を抱き寄せてキスをしてきた。 「あ、なんだよ……んん」  おやすみのキスにしては、長いし濃厚。いつものように、柔らかい舌を僕のそれに絡ませ何度も味わおうと貪欲だ。 「寝るんじゃなかったのか」  ようやく唇を離したので尋ねてみた。抗議なんかじゃない。 「んー。こういうシチュエーションでキスするの、しばらくないなぁ、と思ったらしておきたくなった。暗くなったし条件反射」  悪びれもせず、そんなことを耳元で囁く。 「パブロフの犬か。帰ったら懐かしいベッドが待ってるよ。今度こそおやすみ」  僕は呆れた口ぶりで返したけど、照れ隠しだ。こういう佐山が好きなんだ。あいつの頬にチュッとして瞼を閉じる。  佐山はさっきのキスでエネルギー切れしたのか、気絶したみたいに眠ってしまった。  僕は市原倫。ソロギタリスト佐山巧のマネージャーだ。  僕らは付き合い始めて1年半。普通の会社員で、普通の男だった僕だけど、あいつにナンパされてすべてが変わった。  佐山のことが好きでたまらない僕は、転職し、同棲し、今や仕事もプライベートも佐山と一緒。お互いの愛を糧に充実した日々を送っている。  旅行から帰ったら、いよいよ新しいアルバム制作に取りかかる。今年も佐山と二人、頑張って行くよ。 <登場人物> 市原 倫(マネージャー) 細マッチョのクールビューティ。 元々ノンケだったのが、佐山に一目惚れして人生が激変。 可愛い顔して欲しがりで底なし。 佐山 巧(ソロギタリスト) 高身長、筋肉質の美形ギタリスト。 マイナージャンルながら、知る人ぞ知るミュージシャン。 倫にぞっこんの絶倫野郎。 ※この物語は「僕とあいつのいちゃラブな日々」の続編になります。 前作読んでないよ、との読者様。ご安心ください。読まれてなくても本作を十分お楽しみ頂けます! (でももしお時間がございましたら、前作もよろしくお願いします。) 二人のとにかくいちゃラブな日々をご堪能下さい。ヾ(●´∀`●)
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