第0話:初夏の転入生

1/2
前へ
/229ページ
次へ

第0話:初夏の転入生

ここ、岸間の町では江戸前期から続く、鬼伝説が語り残されている。 今年の初夏、この町の最大の規模を誇る桜花学院高校に1人の学生が転入してきた。 「今日からこの3年華組に転入生が来た、白皇 彗(はくおうすい)君だ。この時期の転入生は珍しいが、皆仲良くするように。 では白皇君、自己紹介してくれ」 担任の隣に並ぶ、今時珍しい白銀の髪を持つ青年は、クラス一同の視線を受け緊張した様子であったが、頭を下げ自己紹介を始める。 「えっと…白皇彗です。親の仕事の都合でこの学園に来ました。同級の仲間に入れていただけると幸いです」 その自己紹介にクラスメイトはざわつき始める。 「はい、静かにして。何か質問がある人は手を挙げて発言するように」 すると、最後列に座る男子生徒が手を挙げ立ち上がった。 「田中圭太。で、その髪って地毛っすか?」 その質問に彗は、前髪を触り、そして頷く。 「これは地毛です。弄られること多いですけど、それも個性かなって思っています」 「その他に質問のあるやつはいるか?」 その問いに反応がないことを確認すると、担任は窓際後方にある空席に座るよう指さした。 彗はその席に座り、荷物を整理していると隣に座る女子生徒が彗に話しかけた。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加