♯0「正邪の狭間で少女が見る夢」

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「帰ってくるわけがない。  あの方たちは秘密の任についていらっしゃるからな。  あんたにも詳しいことを話せなかったんだろうよ」  私は鉄格子にしがみついた。 「姉さまや父さま、母さまは生きているの?」  男は鉄格子に顔を近づけてこうささやく。 「あんた、  死ぬにはまだ早いんじゃないか?  もしそうなら救いの手がさしのべられるだろうよ。  じゃあな」 「まって!  姉さまたちはどこ?  あなたは誰?」  男は答えることなく牢獄を立ち去った。
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