♯0「正邪の狭間で少女が見る夢」

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 死刑当日、処刑場へ連行された今になっても、私はどうやって逃げだそうか思いつけずにいた。  禁断の力を使えばここから抜け出すことなど容易いが、いったん力を解き放ってしまったら、この砦をすべて灰にしてしまうまで制御が効かないかもしれない。  もう誰を殺めようとも姉さまたちは帰ってこない。  もう二度と禁断の力を使いたくはない。  処刑人が私の背を突き飛ばし、絞首台へ上がれと命じた。  私は短い階段をゆっくりと上がり始める。  縄が自分の顔に差し迫り、いよいよ首を預けなくてはならなくなった。  もはや禁断の力を使うしかない――。  そう覚悟を決めたとき、
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