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私は崖の上に立ち、眼下に広がる隣村を見下ろしていた。
「この村は山賊をかくまっているの。
だから根絶しなくちゃいけないわ」
私は投身自殺をするかのように村へ向かって飛び降りた。
私の身体から闇なるものが噴き出して、巨大な黒いしずくのように落ちてゆく。
村に着地したのと同時に、しずくは大波となって村に広がり、誰一人として声を上げることなく、村は一瞬にして死滅した。
何千人もの命を刈ったとき、心に開いた穴が少しずつ埋まっていくような気がした。
それから私は悪党たちがはびこっていると聞きつけては村々を訪れて、心の奈落を埋め尽くすかのように、殺戮の灰を降らせていった。
しかしどんなに悪行を重ねても、姉さまたちが私を叱りに帰ってはこなかった。
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