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名前を突き詰めただけでは終わりではないとアットも思ってる
【長谷川公博】の名前を元に、調べられるところまで調べ尽くすつもりだ
アットは家に帰る前に何でも屋に寄った
「仕事終わったー?」
ドアが開く音を聞き付けた鮭児が、顔を出した
アットが店を出たときと同じ体勢でパソコンを弄っている
「お前は…まだっぽいな?」
「そうなんだよー。タントくんに頼もうかな」
アットは、マウスを操作する鮭児の手を取ると、
「兄貴に頼まなくても、俺がやるし」
と言って一緒に動かした
「あとちょっとじゃん」
わざと鮭児の耳にかかるように呟く
「ほんと?5時間頑張ったからねー」
カチカチというマウスの音が事務所の中に響いた
自分から仕掛けた癖に、緊張でアットの手に汗がにじんできた
「鮭…」
アットが鮭児の耳を啄もうとすると、
「鮭児ー!アットいるー?!」
大きな音を立ててドアが開いた
ズカズカと入ってきたのは、アットの兄の淡人だ
「タント♡」
鮭児は、5時間へばりついていたパソコンからあっさりと離れ、タントの元に駆け寄った
一気に緊張が解けて、アットはホッとしつつもガッカリした
これもいつものことだ
タントは鮭児を軽くあしらい、
「アット、一緒に帰ろう♡」
と言った
この関係に名前をつけるならなんなんだろう
この3人は、こんな関係をもう10年くらい続けている
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