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「そういえばゲームって…」
先に食べ終えたヒヤが切り出した
「あ、コレコレ!」
エチゼンは公開前の自作のアプリゲームを見せた
「ほのぼの系RPGなんだけど、やったりする?」
ヒヤは画面を凝視して、
「こんなゲーム知らない」
と呟いた
「とーぜん!俺が作ったんだもん」
「え?!」
ヒヤがキラキラした目でエチゼンを見た
「うん、それでテストプレーヤーしてほしくて呼んだんだけど…」
半分嘘で半分本当である
あの場で放り出すわけにはいかなかったが、まさかゲームに食いつくとは思わなかった
エチゼンが来月リリース予定のゲームは、【妖怪探偵】というもので、探偵の男性が様々な妖怪の力を借りて、猫探しや、学校の怪談、はたまた殺人事件などの難事件を解決しながら、商店街の町興しをする、というものだ
「グラフィックきれいだね。キャラデザとかも君がやったの?」
『君』
に違和感があった
エチゼンが固まっていると、
「あ、ごめん。名前知らなくて…プッシールームのスタッフ…の人…だよね?」
エチゼンは唖然として、
「そこから?!」
と聞き返した
「え、うん…もしかして全然知らない人だ…したか?」
「いやいや、スタッフで合ってる!合ってるけ・ど・も! もし違ってたらどうしてたの?!」
プッシールームのビルにはタトゥースタジオや、ソープランド、スナックなど、様々な業種の店が入っている
どんな人間が出入りしているかもわからない状態で、よく知りもしない人の家にノコノコついてきたのかと思うと、エチゼンは他人の事ながらゾッとした
「ヒヤくんって、もしかして、そういうの抵抗ない?」
「まあ…元々AVやってたし…」
「それにしても危険すぎない?!そういうことだけじゃなくて色々さ…」
気がつくと、ヒヤが指の皮を剥いていた
「だめ!」
エチゼンは慌ててヒヤの手を掴んだ
ヒヤの顔を見ると、とことん傷ついたような、救われたような、複雑な表情を浮かべていた
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