レイジとゼンジ

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それからしばらくは平穏に過ぎた あれから、ヒヤの出すは減っているように思う エチゼンは、自分が話を聞いたことが、悪い方に進まなかったことに、まずホッとした エチゼンとヒヤは時々遊ぶ仲になった 見た目に反して少年のようなところがあるヒヤは、ゲームが大好きで、エチゼンが作ったゲームを、あれこれ言いながらプレーする それが、開発の参考になることもあれば、ただただムカつく時もあるが、20歳過ぎて、バカ話で笑える友達との時間は貴重だと思った だが、その静寂は突然破られた 清掃スタッフのエチゼンはプレイヤーより30分遅く出勤する 扉を開けようとしたとき、中がなにやら騒がしいことに気がつき、ドアを引く手を止めた なにやら罵り合うような声が聞こえる マサトの声はわかるが、相手の声は聞き覚えがない 「アフターとか以前に、君は出禁だから!」 マサトの声の後、男の怒号と共にガタガタという物音がした エチゼンはとっさにスタッフマニュアルを思い出した 外にいるときに店の異変に気がついたときは下の階のホストクラブの黒服を呼ぶことになっている 警察を呼ぶかどうか決めるのはそのあとだ 黒服を呼ぼうとエチゼンが階段を降りかけた時、 「いいからレイジ出せ!」 という声が聞こえた その声を聞いたエチゼンは、スタッフマニュアルのことなど忘れ、とっさに店に飛び込んだ
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