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では、宏たち2人をここへ連れてきた人間たちは一体どこからこの部屋に入ったんだろう?
「きっと、どこかに隠し扉があるはずです」
友美はキッパリと言い切り、それから2人はしばらく床や壁を手で押したり、スライドできないか試したりしてみた。
しかし、ビクともしない。
「そうだ、外部と連絡を取ってみよう」
目覚めてから15分くらい経過して、ようやくスーツのポケットを確認しはじめた。
「そうですね」
友美もうなづいて自分のスーツを探る。
しかし、探せば探すほど2人の顔は青ざめていく。
スマホがないのだ。
それだけじゃない。
車の鍵も胸ポケットの名刺も、なにもかも取られてしまっている。
外部と連絡が取れるものはなにも残されていない。
「くそっ」
普段温厚な宏がつい舌打ちをして壁を殴りつけた。
「社長、もしかしたら今度の飯田カンパニーと合同で行うイベントを阻止するつもりなのかもしれません」
優秀な秘書はなにか思い当たることでもあったようで、早口にそう言った。
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