2巡目

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後で関係者の人間に聞いた話だと、そのファンは香澄の嘘泣きを暴いてやるつもりでライブを見にきていたと判明した。 そう、香澄は本当はちょっとやそっとのことでは泣かない。 涙を自在に出したり引っ込めたりできるのだ。 わざとこかされたりすれば激怒するのが香澄の本来の性格だった。 でも京一のおかげで難を逃れることができたわけだ。 「あの時、本当に嬉しかったんだよ」 香澄はそう言いながら京一に近づいてくる。 「その時から思ってた。あなたが恋人だったらいいのになって」 香澄はそのまま京一に身を擦り寄らせた。 フリルたっぷりの衣装越しに香澄の肉体を感じる。 それは出会ったときの幼い香澄ではなく、立派に成長した大人の香澄の体だった。 その途端京一の下腹部がうずいた。 京一だってまだまだ枯れてはいない、男盛りだ。 いくら仕事相手だといってもこうして密着されれば意識してしまう。 しかも香澄本人がいいと言っているのだ。 迷う必要はもうなかった。 「身体測定だ」 京一がささやく。 香澄は一瞬不安そうな表情を浮かべたけれど、素直にうなづいた。
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