目覚め

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飯田カンパニーとは、宏たちの会社と争うほど大きなイベント企業で、今度合同で国内外で同時にイベントを開催する予定なのだ。 今のところ一番大きなイベントはそれだし、チラシやポスターにとどまらず、テレビのCMも流されていて、みんなの興味も強くもたれている。 その開催日は来週に迫ってきていた。 こんな大切な時期にこんな目にあうのだから、あのイベントが絡んでいるに違いないと判断したのだ。 「そうなのかもしれないな」 いくら優秀な社員たちでも、社長の指示なしでは動けない。 それほど宏の人望が厚いということだが、今はそれがあだになってしまっているようだ。 2人して部屋の中央で棒立ちになって考え込んだとき、不意に大型モニターの電源が入った。 驚いて視線を向けると画面は大きく2分割されていて、自分たちの姿が右下に映し出されている。 右側の画面には色白で表情の乏しい青年と、スーツ姿の女性が映っている。 左側の画面にはまだ10代の思われる少女とメガネ姿の青年だ。
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